半島トーク1:ライター東洋平さん(房総半島)

2018年6月30日(土)。神奈川県の真鶴半島にある「真鶴出版」の2号店で開催された「半島暮らし学会」のキッフオクイベントにて、房総半島代表としてライターの東洋平さんにお話しいただいた内容の完全版をご紹介します。

当日のレポート記事はこちら→https://cocolococo.jp/24823

******

目次 

******

千葉県館山市から来ました東洋平です。よろしくお願いします。

最初に自己紹介させていただきます。今年34歳で千葉県千葉市育ちって言ってます。生まれは岡山県倉敷市生まれなんですけど、3歳までなので端折ってます。地元の千葉県の中学高校を出て、上智大学の大学院の哲学研究科を卒業して。

で、2011年に南房総に移住するんですけども、この辺の経緯については実はココロココさんに取材して記事にしていただいてまして、興味がある方は読んでいただけたらと思います。https://cocolococo.jp/23729

2012年から2014年までは、農業法人とかウェブ関連会社でライティングを担当してきました。で2014年ですね、そこで地元出身の女性と結婚して、子供ができました。できちゃった結婚なんで、子供が先にできちゃったんですけども。そこでですね、これまで割とフラフラとヒッピーみたいなことをやっていたのが、あれこれ稼がなくちゃいけないなというふうになりまして、しっかりと自立しようということで2015年1月にフリーランスとして独立して自営業が始まりました。

2017年ではココロマチさんが南房総市の事業でやられている南房総2拠点大学というところでメディアコースを担当させていただいたりとかしていました。

 

イベント企画から米作りまで行う、複業型ライター

僕自分のことは複業型ライターって言ってまして。今やってる仕事としては無印良品さんの「ローカルニッポン」というサイトで、月2本記事を書かせていただいていて、「AWANO」という体験のサイト(https://awano.co/)で体験プランナーをしています。体験の事業者さんと相談してどういう体験をどういうふうに載っけよっかみたいなことをやってます。「ランサーズ」さんってご存知ですかね?クラウドソーシングっていって仕事の受発注をインターネットでやるような仕組みなんですけれども、それのエリアパートナーで、南房総エリアの子育て中のママとかですね。ちょっと時間がある方で、でも定時で働けない方向けに、ライターの講座をやってます。

次は「ビーチマーケット」っていうイベントがあって、館山の北条海岸という海岸線で「ビーチマーケット」ってイベントをやっています。でまあライティングの仕事だったりお米栽培したりとか。本当になにやってんのお前みたいなことを言われるんですけど、最近の世相が変わって来て、新しい働き方を推進するという流れの中で、とてもありがたく思っています。これまで批判されてきたんですけども。一気にお前新しい働き方してんじゃんみたいな(笑)。すげー助かってます。

「AWANO」についてちょっと説明したいんですけど。去年の7月くらいからこのサイトづくりに関わっていて、今年の6月に本オープンしたんですけど、今こういう状態です。こんな感じで、海の体験「コーステアリング」って海岸線を爆走するような体験とか、築300年の古民家で「週末里山BAR」っていってバーテンダーさんが週末ついて都会から30人くらい来てみんなで飲み会やろうみたいな企画とか。あとトウモロコシ「味来」っていうメロンより甘いスイートコーンが館山の名産なんですけど、その収穫体験だとか本当にいろんなものが入ってます。このサイトあえて説明しているのはなんでかっていうと、南房総ってすごい体験豊かだよねっていう話が元々あったんですよね。なんかすごくいろんなアクティビティできるよねっていう。で、これよくよく考えてみると半島だからなんですよね。それに全然気づいてなかったんですよ。なんで僕自身も「これ半島だからじゃない?」って思ったところがあって。仮オープンしたのが3月で、そんな話をしていたら「半島のじかん」っていうイベントやられてたのを知って、「あ、半島注目されてる!」いうところがいきなり来たって感じですね。そしたら学会いきなり立ち上がってる!ってなったんですよ!(笑)

ランサーズのエリアパートナー、クラウドソーシングの活動はこんな感じで、みんなお母さんとかですね、子育てが終わった方も結構多いですし、定年退職した方、退職したあと地域で貢献したいということで、地域の情報を発信するってベーシックなところは結構ライティングじゃないですか。そういう思いがある方々が集まってやってます。去年は南房総の鋸南町っていう自治体で担当したんですけども、実はそのお母さんたちがすごい勢いがあって、講座終わったあと自分たちでサイト作っちゃったみたいな。そんなことが起こってておもしろいなあと思ってます。

で、ビーチマーケットっていうのはこういう感じで。北条海岸っていう海があって、その目の前でテント張って。よくある地域イベントですね。ただちょっと地域イベントの中でも僕たちが目指してるのは、それで終わりたくないなあっていうことがあって、体験をいっぱいやってます。SUPとかヨットクルージングとかそういう体験もあるんですけど、釣りだったりとかサイクル、それこそ南房総サイクルツーリズム協会さんがこないだ出店してくださってロードサイクル。海岸線を走ろうみたいな体験とか。海岸線でできること全部やっちゃおう!みたいなことになってて。なんでそういうことにしてるかというと、「海岸線を日常からこういうふうにしていきたい」っていうコンセプトがあります。それを日常からするためにはどうしたらいいんだろうって言ったら、そのイベントの1日の日に、理想的な1日を作って。要するに見本市みたいな。これ今年2回なんです。去年は4回やったんですけども。まあ予算の都合もあって。予算の都合なんて言いたくないので、スポンサー探しとか東京に行ったりしてて。おもしろかったのが、とある会社の社長さんにスポンサーのお願いをしに伺った時に、館山といえば「黒潮」の北限じゃないかって話をされて、北条海岸に固執せずに、ガーッと海岸線、例えば南関東ぐらいでやったらどうかって宿題をいただいて、強烈でした(笑)。

ただ持ち帰って勉強になったなあと思ったのは、地域活性化って言ってても、地方の一つのポイントでイベントやってたら自ずと限界もある。このイベントだって1日だけでなんの効果があんのっていう人もいるかもしれない。先々のことを考えるともっともっと太い幹を作っていかないといけないと。それをおっしゃってたんだと思います。またその黒潮ってテーマをいただきまして、あ~やっぱ忌部(いんべ)なんだって思って。後でちょっと忌部の話も出て来ます。あとは2反の田んぼでコメ栽培したりもしてます。


 

日の出と日の入りが同じ場所で見られる。海と山がぎゅっとしているのが魅力

それでは本題なんですけど、房総半島について思うことってことで。雑多な話になっちゃうんですけど、思ってることいろいろ話します。房総半島って左上に写真があるんですけど、ああいう感じですね。一番下の方にある四角の枠の部分が、僕が住んでいるエリアで、南房総って言います。なので房総半島イコールではなく、この南房総半島について思うことですね。拡大してみるとこんな感じなんですが、先っちょのチョコってしたところ。いくつかの街…館山市、僕がいるところ、と南房総市、あと鴨川シーワールドで有名な鴨川市ってのがあります。あと鋸山ってご存知かなと思うんですけど、そこのふもとにある鋸南町っていうのがあって、3市1町で安房っていう地域です。

呼び名がいろいろあって申し訳ないんですけども、安房っていうのが3市1町のこと。南房総って言ったときには、すごい漠然としてます。ちゃんとした定義もあるんですけども、房総の南っていう感じでみんな使ってます。でも安房ってわからないじゃないですか。なので南房総っていうんですよ。そういう感じですね。使い方としては。

で、よく考えてみると安房ってのはイコール昔の呼び名で房州なんですよ。で上総・下総っていうのはここでいう上の方。総州なんですよ。で房州と総州をとって房総なんですよ。だからそれが房総半島なんだなって思ったときに、僕がいる地域は安房なんで下の方、房なんですよ。ということで、これも実は忌部と関わっています。すいませんなんか、忌部のことをまだ説明していないなかで、自分で盛り上がっちゃって(笑)。

ちょっと南房総の思うことですね、取材をして来て思ってきたことを、抽象的にまとめて見たんですけども。半島っていった場合にみなさんそうかもしれない。ただ僕は南房総しか知らないもんで南房総で言っちゃうんですけども、文化や風習が多様だなって思ってます。さっきAWANOの話でもしたんですが、なんかいろいろあるよねっていうところが前から引っ越した後からずっとあって、なんでだろうって思ったら、その特徴は南房総がいいとこだからと思ってたんですよ。まぁいいところなんですけど、ただ半島だからなんですよね。ていうとこにあまり気づいてなかった。

この南房総の特徴としては日の出と日の入りが同じ地域で見れるというとこですね。で、日の出の方が太平洋に上る。太平洋の方は海が結構荒いんですよ。サーフィンができるし。で日の入りの方が館山湾とかがあって、夕日が有名だったりするんですけどね。穏やかですよね。ベタ凪というか。鏡ヶ浦って呼ばれるくらい静かなんですよね、そうするとおもしろいことに、荒れてる海と静かな海で気質が違うんです、人の。地元の生きてる人の気質が違う。で、もっというと山の文化になっちゃうと、もう全く違うんですよ。海の文化と。喋ってる言葉、方言も変わっちゃうし。でも真鶴半島来て思ったのは、房総半島って広いんだなと。

<会場>最短で反対側に車で行こうとしたら、どれくらいかかるんですか?

富浦から千倉まで車で20分ぐらい。館山から鴨川行こうってなると1時間ですね。まあ僕この辺住んでるんですけど。

<会場>20分の距離で文化は全然違う?

変わりますね。その文化っていうのもちょっと考えていきたいですね今後。かといって、大きく分けるとこの海地域なんですよ。どう考えても。海女とかアワビとか、そういう文化が昔からあって。で山文化。山の人は落ち着いてます。地味です(笑)。穏やかで温厚です。地味っていうのはいいとこもあるんですよ。本当に山の人たちは静かですね。癒されますね。なので、こういう地形的ないしは環境っていうことで人の気質が変わるなというところで。

<会場>聞いてるだけで面白そうですよね。ちょっと行ってみたくなる。

本当?館山市見てる?(※このイベントをネット中継でみていた館山市役所の方へのアピール

<会場>20分でこんなに変わるっていうのは興味深いですね。どこが境目なのか。

もちろん移住して来た人間は土着化してない方ももちろん多いので、地元の人ですね。明らかに気質が変わるなと思うのは。取材してみて、海側の人たちっていうのは粋な江戸っ子みたいな(笑)。わかります? なにやってんだ!みたいな、超怒られたり(笑)。

<会場>房総だけじゃなくて、やっぱり真鶴だって漁師町ですけどどうですか?

<川口さん>真鶴も海側の人のが気性が荒いですね。

それあるある話したいですね。慣れればこれってコミュニケーションなんだって思ったりとか、優しいんだなってわかるので全然怖がらなくていいんですが、海側はぶっきらぼうで、山側っていうのはあまり話はしてくれない。でも話ししてくれると、テンポは遅いんだけど、いい感じのじんわり感で、いい人たちだなっていう違いがあるのがわかる。

取材をしてみて思ったのは、どう考えても南房総の特徴って何かって「黒潮」だったんですね。南房総の売りとか他の地域との違いとかを考えていくと、黒潮にたどり着くことがすごくよくあって。記事書いてて。まとめみたいな記事も書いたことあるんですけど。緯度のわりに暖かいんですよ。1~2℃暖かいみたいな感じなんですよ。でも海岸線は全然違うんですよ。無草地帯って呼ばれてて。たとえば館山とかって南房総って花がすごい盛んって印象がみなさんあると思うんですけども、なんでかっていうと冬に霜がおりないからなんですよね。露地栽培で昔から花が盛ん。霜がおりちゃうと根がやられちゃうから死んじゃうと。なんであんな緯度でできるかっていうと黒潮だったとかね。で、黒潮があるから親潮とぶつかってすごいいい漁場になってて魚の魚種が豊富だっていうことですよね。そして温暖だから最近すごいフルーツ、南国フルーツが流行っているというか、要するに単一品目で売れるものをっていうことでいうと南国フルーツがすごい増えて来てて。パッションフルーツとかマンゴーとか、めっちゃ美味しいの作ってますねみなさん。

<会場>ここ何年かの動きなんですか?

ここ5~6年とかですごい増えてるって感じですね。で、イチジクをすごく推してますね。館山市は。ちっちゃく書いてますけどサンゴがあったりもします。

<会場>ダイビングをやってる人が言ってました、あそこが北限って。有名ですよね。

すごいよく知ってますね!ダイビングショップもたくさんありますね。10軒ぐらいあって。それこそさかなクンも活躍したりしてますね。

そういうことで、黒潮がすごい影響しているんだなあってことがあって、なおかつ思ったのは黒潮に乗った移民の歴史なんだなぁっていうのがあって。要はここ、たどり着いた一番最果てみたいなとこなんですよね。黒潮の。最初は古代忌部氏という、古代の神話時代の氏族ですね。これが徳島から渡ってたどり着いたと言われています。で、その次。えっと紀州。近世から紀伊半島の漁師たちが南房総に来てて、移住して漁業を栄えさせたという歴史があるみたいで。そう考えると、南房総の人って、何千年もそこにいる人なんていないですよ。どの地域にもいないかもしれないですけど。これ不思議なことにこれ移住者に寛容な理由なんじゃないかなと思っていて。だから半島ってそういうところもあるのかなあなんて思ったんですよね。で、やっぱり移住者と地元の人と話しているときに「うちの家は何世代前に紀伊半島から来た」とか知ってるんですよね。そういう歴史、ルーツみたいなものをみなさん持ってる中で「土着民です!」って感じではない。僕も移住者だけどそれもこっちと一緒だよねってとらえてくれるというところがあるように感じます。

次は、ベタな話なんですけど海と山がぎゅっとしてるっていうのが房総半島に対して思うことですね。さっき20分以内に文化が変わるって言ったんですけども、15分以内にこの2つの景色が現れるっていうところが。一日取材に行って思ったんですよ。気付かずにここで取材してて。次の取材に行ったのがここだったんですよ。で携帯見たら15分しかってなくて。全然違う風景だって思って。で、並べてみました。どこにいても15分以内に海に出るし、山も想像以上に深くてど田舎ですね。ということで房総半島の良さかなっと思ったりします。


 

何でもあるから売りがない(笑)。でも、バランスよくて暮らしやすい!

で、暮らしてて思うことですね、まとめに入りたいと思うんですけど。まあ一番は、なんでもあるなって思ってます。これ半島だからってことじゃないかもしれないんですけど。関わりがあるかも。房総半島特になんでもある感じです。なのでゆえに売りがないんですよね。観光地っていっても例えば鎌倉とか日光とかには全然及ばないし。売りがない。それはなんでもあるからなのかなと思います。

で、次なんですけど、逆に言えばこういうバランスが取れててなんでもある地域っていうのは住むにはいいんですよね。一個のモノだけ優れているところに憧れて入っていっちゃうと、絶対飽きると思うんですよ。でもなんでもあるところに入ってくと、そこからまた冒険が始まるんですよ。僕なんか本当にRPGゲームしてるみたいな感じでした。あの人に会ったからMPが20ポイント上がったみたいな。そんな繰り返しがずっとあった気がします。

そういう意味では「目的意識を明確に持って移住してきてる人が多い」という感じがして。地図で見ると、ここってポコって出てるじゃないですか。真鶴半島もそうだと思うんですけど、本州で移動しているなかで、人の流れの中に乗ってないから、意識しないと来ないんですよね。インバウンド、いま流行ってますけど、インバウンドのマップみたいなんあるんですよ。どこに外国人が行ったかみたいなマップ。ここ何にもないんですよ。みんな成田とか羽田で降りてるのに、みんなアクアライン通って箱根に行くんですよ。なので本当に目指して来てる人しか来ないなって思います。

<会場>移住して来てる人の目的意識は何の人が多いですか?

やっぱり田舎暮らしっていうところに惹かれて来てる。畑もしたいし山も自然豊かなところで。まぁ田んぼだけやるかって人は少ないかもしれないですけど、やっぱ自然環境豊かなところで子育てしたいみたいなニーズはすごい多くて。僕の周りの仲良いコミュニティとかはみんなそうですね。まぁ都会の喧騒から逃れたいっていうのももちろんあると思うし。

<会場>子育て支援とかもしっかりしてるんですか?

いや、それは特には(笑)。他の地域と同じだと思います。いろいろ助かってますけど、ごめんなさいあんまり詳しくなくて。僕以外の移住者は、ぽっと移住して来たというよりは、かなり下調べして他の地域とか見て、来てるなと。

この今まで話したようなことを意識したことで、僕自身がこの地域をまた好きになりました。だから半島暮らし学会ってすごい効果あると思います。すでに考えただけで、立ち上がったばかりなのにこんなに高揚しているという。で、あと半島の比較っていうのがおもしろそうだなって思ってます。大きさとか文化圏。大きさによって文化圏の捉え方がちょっと違いそうだなぁっていうところと、あとあの半島の右と左とか方角とか環境とかも。

島とか行くってなるとなんかもうそれぞれじゃんって印象があるんですけど、半島ってなったときに、半島の地形とか場所とかによって、モデルが違いそうっていうか。何個かのモデルができそうだなとか。本当に学会っぽいことが起きちゃうんじゃないかなっていうふうにワクワクしました。

 

島感覚を楽しみつつ、都会つつながっている安心感もある

で、あとお題をいただいていたので、半島ライフスタイルみたいなことを書いてみたんですけども。まぁ一つはさっきお話ししたように、20分で文化圏がめっちゃ変わるから、そういう文化圏を享受する日々だと思ってて。こないだはこの人に会いました。次は例えばイベントで他の地域のこと手伝った時に、地元の人と話したら全然違う価値観があったりして。うわーこの人たちってこんな感じなんだって。価値観って言っちゃうと思想とかになっちゃうんで重いんですけど、そんな重いものでなくて、もっと表面的な、でも深いんですよ。人との接し方とかそういう文化の違いが全然違う、そういう文化が享受できる場所が半島なのかなと。で、二番目が、幅広い趣味で年間楽しめるという。海山が全部あるので、冬の時期なんかは寒仕込みじゃないですけど、山のこといっぱいやるわけですよ。味噌作ったりとか、醤油作ったりとかそういうことをやったりする多趣味な人が多いなという印象です。で、あと欠かせないのは、海が身近にあるという開放感。半島には常に海が背中にあるっていう気待ちがありますね。その海があるっていう感覚が、島感覚なんですよ。島感覚を楽しみつつ、ただ都会とつながっているという安心感がある。それが南房総の良さでありあらゆる半島の良さかもしれない。付け根の方の。そういう意味では、一回入ったところでこういうふうに暮らさないといけないっていう固定概念がないので、縛られないライフスタイル、自分のオリジナルなライフスタイルが築けるっていうのも、半島の大事なことなんじゃないかと思いました。以上です。

<会場>もし半島暮らし学会で何かひとつを極めるとしたら、どういうことを深めていきたいですか?

番外編を用意してます(笑)。さっきちょっと出てたんですけど忌部氏ってあんまり知られてない。ある意味では、歴史の闇に葬られたほうの氏族なんですね。藤原氏っていうのが要するに大和朝廷を作ってオーソドックスを作ってくわけですよ。で、それに対して忌部氏って負けちゃうんですよね、中臣氏との戦いで。で、その戦いで負けちゃったから影の歴史になっちゃって公に出てきてないものの、すごい大事な日本の特徴を担っていて。で、それがこれなんですよね。麁服(あらたえ)の貢進の出発式って出てくるじゃないですか。これなんなんだって昨日夜な夜な調べてたんですけど。実はいま天皇、皇太子さんが天皇に即位されるじゃないですか、来年。これ5月なんですよね。そのあと、実は「大嘗祭(だいじょうさい)」っていう天皇の即位にあわせて開かれる超盛大な祭りがあるんですよ。これ昔からずっとやってるんですよ。

 

で、大嘗祭の時にですね、天皇は必ず麁服っていう衣装を着ないと実は即位にならないんですよ。天皇が即位したってのは麁服を着て大嘗祭を行わないと正式に認められないっていう決まりがあるんですよね。で、その麁服っていうのが何かっていうと、5月に天皇即位するじゃないですか。即位するって言っても形式的なものなんですよ。そっから麻植えるんですよね。ちょっとこれは非合法な話なので、あんまり深く話すとちょっと疑われちゃうんですけど、そんな人じゃないですからね。大麻っていうのは日本の文化ではすごい大事な植物であってその麻を、三木家って言って徳島にある三木家住宅っていうところで麻を植えます。で、麻がバーって成長してこんな風になります。で、なんか色々やるんですよね、植物なんで、繊維にして布にして、麁服っていう白い衣装を作ります。で、そこで天皇が即位したあと大嘗祭でそれを着て、お祭りがようやく整う。っていう歴史的なところでいうと、忌部氏は天皇家の神秘的な部分というか、神聖な部分をずっと扱ってきた氏族なんですね。で、忌部氏はその麻がよく植えれるところを探して、徳島からどんどん移動していくんですよ。さっき勝浦とか白浜っていう話があったと思うんですけど、あれは忌部氏がたどった道なんじゃないかという説もあったりとかして。(紀伊半島にも房総半島にも)白浜っていうところも勝浦もあるんですよね。そういう地名的なつながりもあったりして。

 

なんで黒潮っていうのが大きなテーマだとして、その裏テーマに忌部っていうのがあると、ちょっとした知識人がワクワクする。やっぱり知識人のハートを掴むことが大事じゃないですか。学会っぽい、そう。なので忌部ってのは副題としてありなんじゃないかっていうのを最後に提示させていただきます。

 

<会場>じゃあぜひ忌部部会を開いていただいて(笑)。ありがとうございました。

 


東洋平さん(ライター):房総半島
1984年生まれ千葉市育ち。大学で哲学を学んだのち南房総へ移住。フリーペーパー制作やイベントを開催していたところ館山市観光協会でライターをすることになり、取材や調査から館山・南房総のオリジナリティは「黒潮」の北限域であることを知る。同時に神話時代に阿波から黒潮に乗って安房へ至ったとされる忌部(いんべ)氏に関心を抱く。忌部氏の足跡を辿ると同じ地名が半島に多い。黒潮の文化は海路の道標として半島でつながっていたのかもしれない。これまで無印良品のサイト「ローカルニッポン」で南房総エリアの執筆を担当し、地域発の体験予約サイト「AWANO」で体験プランナーを務め、そのほかイベントのプロデュースや米栽培など新しい働き方を実践中。南房総について書いた記事は150本以上。

関連記事

  1. 半島フィールドワークレポート1:房総半島・富津市金谷編